日本の祭りレポート
ゆにしかわゆどのさんじんじゃさいれい
日光市湯西川の湯殿山神社は温泉が発見された安土桃山時代、修験者(山伏)が出羽三山(山形県)のひとつ羽黒山の湯殿山神社から神様を分霊して温泉の守り神としたのがはじまりと伝えられています。源平合戦で敗れた平家の落人が傷を癒やし隠れ住んだともいわれ、江戸時代には当地に赴任し地区の開発にあたった二宮尊徳が温泉で療養した縁から、戦後、尊徳を祀る報徳二宮神社宮司が湯殿山神社の祭りも担うようになったのだそうです。神仏習合の祭りであり、温泉街を行く御神幸、雄獅子・雌獅子・太夫の3匹の獅子による跳躍の見事さなどなかなか興味深いものがありますが、おおらかでいかにも温泉街の祭りと思えるのが、獅子舞の上演を見ながら皆さんが屋外で宴会を開いている様子です。御供えのお下がりを神様と一緒にいただく、年に一度の人神共食のありがたい歓楽です。
取材・文:加藤正明
平家落人伝説の残る湯西川の祭り。 慈光寺から湯殿山神社への神輿渡御では、行列に神主と住職が加わるなど神仏習合の姿が今なお残っています。また、祭りを執行する「行人」は、祭りの2日前から行屋に入り、厳格な水行などを行います。神事の後、獅子守る会による獅子舞が奉納され、上演の間は、神様とともに馳走をいただく直会となります。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り