日本の祭りレポート
やまなかすわじんじゃ あんざんまつり
9月5日、標高1,000メートルの山中湖畔は紅葉の色づきが始まり、すでに秋。神社の境内では若い男女が前の人の肩に手をのせて“よいよい よいさ”と行儀よく行進。行進のリズムには緩急があり、進んではまた後ずさり。それは押し寄せてくる陣痛を予感させ、明神太鼓の音は母の心臓の鼓動か。ここは深夜の山中諏訪神社。不思議な坩堝(るつぼ)です。でも背負われた幼子らは誰ひとり泣かないといいます。“諏訪の宮 御影さす 右龍がいにも 左龍がいにも もそろげにもそろ”の群衆の大合唱。これはご祭神の豊玉姫命が安産だったとされるところから始まった祭り。妊婦たちがあちこちにみえます。安産で、元気な子を産みたいという母の逞しさと願いが満ちます。
【取材・文:苦田秀雄】
毎年9月4~6日までの3日間にわたり行われる例大祭。神社の祭神は安産守護の神様・豊玉姫命で、夜、神輿を担いだ氏子及び崇敬者の女性には子宝・安産が約束されるといわれています。5日の本祭りの夜、神輿が「もうそろ・もうそろ」と御神歌を唱えながら境内を練り歩く様は圧巻で、祭りは最高潮を迎えます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り