日本の祭りレポート
やまなじんじゃてんのうさいぶがく
この祭りには京都と江戸の文化が同居しています。ひとつは舞楽です。その演目「鶴の舞」は京都祇園から山口を経て島根の津和野にも伝わったもの。さらに「蟷螂(とうろう)*の舞」も京都祇園祭の蟷螂山にみられます。これは菓子の販売をしていた外郎(ういろう)家が北条の招きで小田原に移転する際に伝えたものです。祭りのフィナーレはこの舞楽の途中境内に次々と入ってくる8基の屋台。それは粋のいい江戸囃子で、江戸っ子のパワーを発散。京都と江戸との奇跡のブレンドです。東海道は多くの人や物資が往来。大雨で洪水になれば人々は大川端に滞留します。そこで旅人は地元の娘と恋に落ちることもあれば文化も着床したのです。
【取材・文:苦田秀雄】
山名神社の祭礼は「飯田の祇園」と呼ばれ、応仁の乱以前、京都・祇園祭で舞われていた舞がここに残されています。8段構成の舞の中で、カマキリのかぶりものを付けて舞う「蟷螂(とうろう)の舞」は全国的にも珍しいものです。舞の途中からは舞台の周囲を8台の屋台が廻り、祭りはクライマックスを迎えます。(国指定 重要無形民俗文化財) 重要無形民俗文化財)