日本の祭りレポート
うみをわたるさいれい
この祭りを取り仕切るのは地域の22、23歳の若者。資金集めや準備から実施まで大人は一切口をはさみません。見事に祭りを終えて一人前の大人として認められるのです。だから彼らは必死。これは青島神社の彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)を海にいる妻の豊玉姫命(とよたまひめのみこと)に逢わせる神事です。神輿はあちこちで暴れまくり、神幸は逆にのんびりした「浜下り唄」で進みます。“ここは青島 波紫(しわす)の中に 浮島八重畳 畳かさなるあの大岩根 神の宮居のいしずえよ”。唄を神幸の囃子にしているのは珍しいものがあります。唄には「宮出し」「本歌」「御休み所」「還御」があり、時と場所によって唄い分けられます。真夏の日南海岸に躍動する若者の姿が美しい。
【取材・文:苦田秀雄】
青島神社に古くから伝わり、毎年夏に豊漁や無病息災を願って行われている「海を渡る祭礼」。青島神社の御祭神の御霊(みたま)を神輿に乗せ、氏子の中で22・23才になった若者が、海積宮にお連れする祭りで、「あばれみこし」を中心とした御神幸行列が浜下り唄に合わせ、青島地区を2日間にわたって練り歩く祭りです。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り