日本の祭りレポート
わきみさきぎおんまつり
これは神輿行列と深堀藩の大名行列が一体化した祭りです。長崎半島先端の港町の小さな路地、やってきたのは神輿を先導する大名行列。担ぎ手たちは“シュー、シュー”と大きな息を吐きます。「ばんば」役は手にした毛槍を振り回して見物客を楽しませます。挟箱(はさみばこ)を受け渡しする下馬(げば)の儀式も所作が独特。お囃子は連太鼓に5人がつき、その音は道中絶えることがありません。行列の脇には白い浴衣姿の法螺貝奏者が高らかに法螺貝を吹きながら随伴。山の上の八坂神社での神事を終え、祭りの最後、一行は集落内の四つ角に集合して突然の殴り合い。これは今年の役目を終えた町が次の年の当番町へ役目を渡す儀式。四つ角は何事もなかったかのようにすぐ日常に戻ったのでした。
【取材・文:苦田秀雄】