日本の祭りレポート
つばやまむしおくり
椿山は日本でもっとも最近まで焼き畑農業が行われてきた集落です。10年前まで5人いた住民はすでにひとりになり、その女性も介護施設に。(2022年現在)。祭りは都会に出た人や行政の手で継承されています。
平家物語に斎藤実盛の馬が稲の切り株につまづき、討ち取られたことが記されています。そこから、実盛は稲を食い荒らす害虫になったとされ、「虫送り」は別名「実盛送り」とも。傾斜30度の猫の額のような場所に点在する朽ちた家。急峻な谷あいから雲がわきます。太鼓の行列はお堂から集落にむけて出発。虫は音に反応するため、太鼓の音に反応して大きな草鞋に寄りつくとされているのです。行列は谷底へ降り、願いごとを書いた札(ふだ)と虫を集めた草鞋を川に流します。かつては全国の農村部にみられた虫送りもいまは稀少な習俗となりました。
【取材・文:苦田秀雄】
伝統行事の「虫送り」は、平安時代、斉藤別当実盛(さいとうべっとうさねもり)が源義仲(みなもとのよしなか)に敗れ、亡霊が稲の害虫になった言い伝えから、供養と豊作を祈ったことが起こりといわれています。椿山虫送りの時に奉納される椿山の太鼓踊りは、安徳(あんとく)幼帝の子守歌、平家のゆかりの霊を慰める踊りとして椿山集落に受け継がれ、町の無形民俗文化財に指定されています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り