日本の祭りレポート
はつうままつり「ひふせのとらまい」
古来、この地域は奥羽山脈からのフェーン現象でしばしば大火に見舞われました。そこで、この祭りは今から650年ほど前、中国古典「易」の故事「雲は龍に従い 風は虎に従う」にのっとって初午祭に虎舞を奉納したのが始まりとされます。
消防団が祭りを仕切り、およそ30人の子供たちが山車を曳き、虎子がそれについて舞い、2900戸の家庭に火伏せのお札を配って歩きます。祭りのクライマックスは花楽小路「寅や」の屋根での虎舞です。夕陽を受けて、哀愁をおびた笛の音と、力強い太鼓にあわせて踊る虎たち。不思議な光景です。人々は防火への強い祈りをこめて舞います。雅にして、力強く、これはかなり独特の祭り。
【取材・文:苦田秀雄】
「雲は龍に従い、風は虎に従う」という中国の故事に倣い、虎の威を借りて風を鎮め、火伏せを祈願したのが起源とされる伝統行事。お囃子(はやし)にのって、色鮮やかな山車や虎が練り歩き、各家の防災と家内安全を祈願します。みどころの虎舞を演じるのは、厳しい訓練を乗り越えた、地元の中学生たちです。