日本の祭りレポート
とみおかいなりじんじゃはつうまたいさい
祭りが近くなれば、住民らの耳に夜風にのって流れるシャギリや笛、太鼓の練習の音が聞こえてくるとか。それは彼らの心に祭りの灯がつく季節。2月、春の気配を感じるその日、富岡稲荷神社の境内下に集まってくるわ、くるわ。趣向をこらした山車や演じものが次々と見せ場をつくるのです。目立つのはフカの造りものを台車に載せ、「フカ狩り音頭」で女性集団が踊り歩くもの。ほかには「川舟」、山車を担ぎあげる「コッコデショ」、「蛇踊り」など。これらは「長崎くんち」から伝わったもの。さらに江戸風情の「ほっくり飴」は富岡独自の出しもので、飴売りが口上を述べながらシャギリにのってユーモラスに踊ります。
【取材・文:苦田秀雄】
江戸時代、天草の政治・経済・文化の中心であった富岡城下に受け継がれる伝統行事が初午大祭です。約350年の歴史があり、五穀豊穣、商売繁盛、火難防除を祈願して、毎年旧暦の初午の日に開催され、多くの見物客で賑わいます。各地区がそれぞれの伝統の出し物を奉納しています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り