日本の祭りレポート
とどろきじんじゃしゅうきれいたいさい
徳島最西端の県境、海陽町の山深くに、いくつもの滝が白糸を垂らしたように連なる流域があります。通称「轟九十九滝」。そのうちの最も大きく神秘的な滝が「轟の滝」です。切り立った崖の奥に滝壺があり、立ちこめる水煙はさながら龍神のうねりのよう。神々しい気配を漂わせています。近くに社殿を構える轟神社の秋季例大祭では、白装束の若衆に担がれた神輿がこの大滝壺に威勢良く飛び込んでいきます。神社の御祭神「水波女命(みずはのめ)」は水を司る神さま。林業、水産業、廻船業、農業など海部は昔から水に恩恵を受ける産業が地域経済を支えており、海部の水の始まりである轟の滝と水の神を祀る轟神社は彼らから厚い崇敬を集めてきたのです。2021年には轟神社の氏子らが育てた米と滝の水を用いた日本酒が生まれました。ラベルは藍色、箱は阿波和紙と徳島づくし。水の神様が令和の海陽町にもたらしてくれた新しい息吹です。
※参考:轟神社ホームページ等
取材・文:加藤正明
清流・海部川の源流域にある轟の滝。毎年秋になると山の民と海の民が集い、暮らしを支える「水」の神様に感謝して祭りが行われます。400年以上受け継がれてきた祭りの見どころは「暴れ神輿」の滝渡御です。禊ぎを終えた白装束の担ぎ手が約140段の石段を駆け下り、落差約58メートルの滝へ神輿を運びます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り