日本の祭りレポート
おとなしじんじゃあきのたいさい ちりへっぽ
ここは高知県須崎市の横浪半島浦ノ内湾、太平洋に面したリアス式海岸です。神社は内海の海辺に。別名「土佐の宮島」。祭りは豊作に感謝し子孫繁栄を願うため、幼児が務める神の子の結婚式です。前夜は関係者が一堂に会して結願祭を行ないます。
そして当日、4人の乙女が「浦安の舞」を舞い、白装束の神の子一行が神歌を歌いながら神社へ。歌詞にある「チリヘッポ」は「千里八方」ではないかとされています。神の子の男児は「行児(ぎょうじ)」で肩車され、女児の「斎女(いたじょ)」は背負われて登場。付き添うのは頭屋主、御幣差、守婆2人、供人数人という構成。一同は境内に据えられた神輿の前に正座して神妙に神事に臨みます。そして白酒で三々九度。幼い夫婦の誕生です。ここは知る人ぞ知る良縁成就の神社。
【取材・文:苦田秀雄】
鳴無神社の秋の大祭は「チリヘッポ」と呼ばれる全国でも珍しい“神の子の結婚式”の祭りです。神の子となる子ども(男の子は「行児」、女の子は「斎女」)は、旧暦の8月1日から始まる様々な儀式を経て、大祭での結婚式を迎えます。当家の一行が歌う「チリヘッポ」の神歌に導かれながら、祭りはしめやかに行われます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り