日本の祭りレポート
たづくりさい ひふりしんじ
この祭りは阿蘇農耕祭事の一環です。旧暦1月13日の阿蘇神社の「踏歌節会(とうかせつえ)」に始まり、10月18日までの「火焚き神事」まで、種々の神事が催行されます。その歴史は古く、2022年時点で2112年、つまり紀元前90年創始というわが国最古級の祭り。
「神婚の儀」は毎年旧暦の3月、妃神を娶りに里に降りてくる神が神婚の儀式を阿蘇神社で挙げたあと、初夜を過ごすもの。御前迎えの一行が赤水・吉松社で姫神を迎え、阿蘇神社に向かいます。神社の前で多くの氏子が縄の先につけた火の藁束を振り回して神様の足元を照らします。それが「火振り神事」。かつては阿蘇盆地全体が火の海に見えたとか。
【取材・文:苦田秀雄】
阿蘇神社に伝わる神事「阿蘇の農耕祭事」は国指定の重要無形民俗文化財、その中で3月の申の日に行われる「火振り神事」は農耕神「国龍神」の婚礼を祝う儀式です。夕刻、氏子達は火をつけた茅の束を振り回し神様方の婚儀を祝います。神事中境内は炎の輪で彩られ、幻想的な雰囲気に包まれます。祭りが終わると阿蘇には春が訪れます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り