日本の祭りレポート
たけんげい
祭りのある若宮稲荷神社は長崎市街地を眼下に望む高台にあります。そこは坂本龍馬たちがつくった最古の商社である亀山社中のすぐそば。「竹ン芸」の由来は、祭り囃子に浮かれて出てきた白狐たちが、竹やぶの中で遊び戯れる様子を奉納踊りとしたということです。神社の境内に立てられた高さ12メートルの孟宗竹を軽やかな囃子に乗って女狐が昇り、その上で「横一文字」の技を披露。さらに逆上がりをして、指でお稲荷様の紋である「宝珠」を作って男狐を誘います。男狐は「昇り竹」をピョン、ピョン跳ねながら昇ってゆきます。観客の“よいしょ よいしょ”のやさしい掛け声にのって、紺碧の長崎の空に狐の白さが鮮やか。竹がしなります。「竹ン芸」、それは秋の長崎、お狐たちのちいさな、ちいさな秋まつり。
【取材・文:苦田秀雄】