日本の祭りレポート
たどまつり あげうましんじ
神占で6地区6人の青年騎手が選ばれます。彼らは地域の期待を背負って多度大社にある平均斜度30度の坂と高さ2メートルの絶壁を馬で飛び越えるのです。5月4日は2回、5日は1回とひとりチャンスは3回。飛び越えた回数で地域の吉凶が決まるため実に真剣。スタートの合図が切られ、花馬が馬場を猛然と疾走。急坂をものともせず駆けあがり、最後の絶壁をスローモーション映像のごとくひらりと飛び越える花馬もあれば、絶壁の手前で立ちつくしてしまうものもあり、悲喜こもごも。成功した青年は歓喜の涙、失敗したものは地域に対する申し訳なさ、自分のふがいなさを嘆き号泣。こうして青年は大人になってゆくのです。
【取材・文:苦田秀雄】