日本の祭りレポート
すおうそおのはしらまつ
これは山口県岩国市の島田川中流域の中村・山田・落合3地区に伝わる行事です。江戸時代、疫病蔓延のため農耕用の牛馬が多く死んだためその慰霊と除災を兼ねて始まったと伝えられます。集落の広場には高さ20mほどの孟宗竹の柱が三方からの大綱に支えられて立っています。てっぺんには円錐形の籠がそえられ、中にはお守りや萩の葉、火薬を詰め込まれています。人々はその籠に向けて競って火のついた小松明を投げ上げるのです。早く火をつけた人に幸運がくるというもの。人々は夢中で小松明を投げ上げ、それは炎の円弧を描いて地上に落ちてきます。やがて小松明がうまく籠に入って点火。メラメラと燃えます。
「柱松」とは柱の一端を地中に埋めてもちいる松明で、別名「たちあかし」ともいいます。それは諏訪大社の「御柱」と同じで、神の依代を意味するもの。またてっぺんに火をつけるのは小正月行事のとんど「左義長」と同じで浄火の意味もあるとか。
取材・文:苦田秀雄
高さ20メートルほどの柱の頂上に「鉢」を取り付け、その上に「五穀豊穣」「牛馬安寧」等の祈願を書いた御幣をとりつけます。それをめざして「松明」を投げ入れ、神に高燈明(柱松)を献灯する火祭り。中村、山田、落合の3地区で、280年あまり継承されており「祖生の三本松」とも呼ばれています。(国指定 重要無形民俗文化財)
※出典:ダイドーグループ日本の祭り