日本の祭りレポート
すみよしまつり
萩といえばかつては北前船の寄港地、廻船業と水産業で栄えてきました。江戸時代、ある廻船業者が海運の神様である住吉大社(大阪)に航海の無事を願掛けしたところ持ち船が時化(しけ)の難を逃れられ、そのことに感謝して藩に勧請を申請したことから、万治2年(1659)、神輿が御神幸する住吉祭が始まりました。神輿に供奉(ぐぶ)する御船山車は、萩藩主から贈られた小舟を山車に仕立てて曳き回したのが始まりといわれ、約300年の歴史があります。その御船の上で演唱されるのが「御船謡」です。法螺貝を合図に御船は出発し、城下の要所で「お船謡」を披露します。”目出度のーまたのー若松がー枝も栄えて葉も茂るー“。夕まぐれの萩の町に朗々と響く謡のなんと美しいこと、歌い手である白麻裃姿の男衆のなんと凜々しいこと。城下町・萩に伝わる至宝の祭りです。
取材・文:加藤正明
萩市住吉祭の御神幸祭の中心は御神輿です。その昔御神輿の御供として御船山車が巡行されました。この御船の上で演奏される「御船謡」は毛利藩の御座船謡として祝事や藩主乗船の際などに演唱され口伝伝承されました。例年8月3日は「御船」に歌い手が乗船し萩市中巡行し、深夜には神社に宮入りする「おあがり」で祭りの最高潮に達します。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り