日本の祭りレポート
かどふさじんじゃあきまつり そにのししまい
曽爾村は多くの伝説や、ススキが生い茂る曽爾高原など、ロマン尽きない関西の秘境。伊勢から出雲に通じる街道沿いの村です。かつてこの村は極めて貧しく、五穀豊穣と村の平安を祈るため、生娘(きむすめ)の首を神に捧げていたとか。それはいま「スコ」(頭)という供えものに取って代わり、各地区の氏子代表が神に捧げます。祭りの最後は門僕神社境内で獅子舞が奉納されます。演目は3大字(おおあざ)あわせて21種。代表的な演目は伊賀見地区の「接(つ)ぎ獅子」、長野地区の「獅子踊り」、今井地区の「参神楽(さんかぐら)」です。それは素朴にしてユーモラス。演技を鑑賞する氏子たちの顔のなんと穏やかなことか。小さな村の小さな祭りを、大きな誇りで演じる村人の姿は胸を打ちます。
【取材・文:苦田秀雄】
曽爾谷(そにだに)(八地区)の氏神である門僕神社の例祭は、各地区の当屋(とうや)、兼当(かねと)、脇(いとなみ)が集い、献撰(けんせん=頭甲【すこ】)を送る神事を行います。神事の間に奉納される曽爾の獅子舞は、伊勢大神楽を原点に近い形で継承し、種類の豊富さと質の高さが評価され、昭和54年、奈良県無形民俗文化財に指定されています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り