日本の祭りレポート
しおやわんのうんがみさい
これは沖縄本島北部、大宜味村の塩屋と白浜、屋古、田港の4地区が共同で行う海の彼方ニライカナイからの来訪神を迎え、送る海神事です。歴史はおよそ500年。沖縄社会の特徴は出自を重んじる「祖先観」であり、思想の根幹は「世乞(うーく)」で、現世と他界の概念が明確。他界は天界(オボツカグラ)や、海の彼方および地底(ニライカナイ)、死者の赴く後世(グショー)などがあります。ガジュマルの下の拝所に座っていた「神人」たちは祭司「ノロ」を中心に村人たちとともにゆっくりと浜辺に赴きます。浜辺に並んで座った5人の老婆は海の彼方のニライカナイに向かって祈りを捧げます。これぞディープ琉球文化の神髄。
【取材・文:苦田秀雄】