日本の祭りレポート
しらぬかいつくしまじんじゃれいたいさい
白糠厳島神社は港の丘の上に鎮座。ここは霧が多いため神社の赤鳥居は燈台の役割も果たしてきました。祭りで先ず驚いたのは海の男のたくましさと荒っぽさ。神輿を担ぐ男たちの叫びが飛び交います。真っ赤な衣装の男がバシバシと地面を叩きながら檄を飛ばしているのです。それは「猿」と呼ばれる人。祭りの絶対権力者のようで、誰もがその命令に従わなければならないとか。見せ場に来れば、担ぎ手は時々神輿を地面すれすれまで降ろして運びます。これを「地ずり」といい、海の男の力の誇示。
浜の神事のあと、神輿は海に突入。そして神社へ還御。70段の石段を上がる彼らの表情は必死。祭りが終わり、海の男は純情泣き。
【取材・文:苦田秀雄】
約200年前に安芸の厳島神社から分霊した北海道白糠町の厳島神社。
例大祭では五穀豊穣と海の安全を願い、町内30キロを巡行。神輿は腰の高さに抱え、見せ所では地面をはうように進む「地ずり」という独特な担ぎ方をします。山場は太平洋の荒波に向かって豪快に突き進みながら神輿を清める勇壮な海中神輿渡御です