日本の祭りレポート
さわのぼりろっかくどう・きりこまつり
「なにを奉納すれば観音様、聖徳太子様は喜ばれるだろう。それはきっと美しいもの」、ということでこの切子が奉納されるようになったといいます。切子とは切り紙細工の一種です。沢登の人びとは1月から秋の祭りに向けて奉納切子のテーマを考え始めるといいます。決まればひたすら制作に没頭。図柄の輪郭を描いた紙に10~15枚の紙を敷き、「つきのみ」という刃物で切り透かしてゆきます。優秀作品は六角堂の正面に貼り出されます。祭りが終わり、切子は地区の全家庭に配られます。それはそれぞれの家の1年間のお守りになるのです。
【取材・文:苦田秀雄】
南アルプス市・沢登地区、如意輪観音と聖徳太子を祀ったとされる六角堂。毎年秋の例大祭には地域の人々の手で作られる、50点以上の「切子」が奉納されてきました。三百数十年前から続くとされる沢登の「切子」は、10枚~15枚重ねた和紙を切り透かしていくもの。その繊細さ、美しさは、まさに芸術作品です。