日本の祭りレポート
いわて・さんりくやまだまつり
東日本大震災から3年半後の9月14日、照明に照らされる神輿につく若者の顔ははじけ、あるいは泣き、茫然無我の顔、神輿の重さにゆがむ顔。
15日は新調なった大杉神社の神輿の海上渡御。蒼天の山田湾を御座船が進みます。リアス式の奥深い山田湾は鏡。そこに流れる太鼓と鉦と笛のお囃子、そして唄い。御座船の誰の顔にも笑顔はなく、茫然と海の彼方をみるのみ。その胸にあるのはきっと大震災であの世に召された愛する人の面影。船主が海に米を播きます。猿田彦が威風堂々海の彼方ににらみを利かします。恵比須様が船首で舞いながら船は波止場に帰還。祭りの日、人々は輝きました。被災地の祭りを応援しましょう。
【取材・文:苦田秀雄】
あの日から、3年半。津波で壊滅的な被害を受けた山田町に、ついに祭りが完全復活します。港町らしい勇壮な暴れ神輿、そして、荒ぶる男たちの海上神輿渡御…。山田八幡宮と大杉神社の祭りに、町が湧きかえる2日間。山田祭は、故郷が故郷であり続けるために、男たちが必死の思いで復活させる、町の灯です。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り