日本の祭りレポート
おわりつしまてんのうさい
木曽川の湿地帯に育つ葭(よし)はその逞しい生育力で神格化されてきました。この祭りは葭を束ねた幣(へい)を厄災とともに贖物(あがなぶつ)として川に流すもの。宵祭り、双胴の車楽船(だんじりぶね)の真柱には12個の如意提灯が吊り下げられ、その下には365個の提灯が傘鉾形に掛け並べられ、お椀型の提灯の下正面には赤いなべづる提灯が30個。これは光の暦。翌日は朝祭りです。前夜の提灯飾りから艤装(ぎそう)した車楽船は、2層の小屋台に3層の瀟洒な大屋台を組み上げ、最上層には等身大の能人形を搭載。この一夜の変身ぶりはまさに芝居の「どんでん」。その日の深夜に神葭(みよし)流しの神事が秘かに行われます。荘厳さと華やかさが見事に同居する祭りです。
【取材・文:苦田秀雄】