日本の祭りレポート
みみじんじゃれいたいさい おうのまい
あたりを睨みつける真っ赤な鼻高面。手には鉾。ゆったりとそして力強く。境内の時間を圧倒的に支配する「王の舞(おのまい)」には祭りを先導して悪霊を払う呪術的な役割があり、全国各地の祭礼行列の先頭に天狗(猿田彦)がいるのもこの舞が起源といわれます。鳥居や鯛など、地区ごとに異なる形につくられた飾り餅「御饌(ごぜん)」を、羽織り袴の総代が新緑の長い参道をとおって神社に奉納。美しい光景です。訪れた日は小学生の一行がタブレットを手に先生から神社での所作や祭りを学んでいました。「鳥居の真ん中をくぐってはいけません」「2礼2拍手1礼でご挨拶」…これもまた、祭りを未来につなぐひとつの光景です。
取材・文:加藤正明
「王の舞」は平安末期から鎌倉期にかけて京都や奈良の社寺で始まったと言われる貴重な神事芸能で、福井県の若狭地方では16の神社で今も伝承されています。そのうち最も美しいと言われるのが毎年5月1日に行われる彌美神社例大祭で奉納される王の舞。鼻高朱色の天狗面に鳳凰の冠をつけた王が五穀豊穣を祈り、厳かに舞います。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り