日本の祭りレポート
おつなかけしんじ
神様に捧げるさまざまな芸能や競技は大切な神事のひとつです。ここ熊野の花の窟(いわや)神社では、ご神体である高さ45メートルもの崖の上から境内の御神木に太く長く重いお綱をかける年2回の例大祭を「お綱掛け神事」と呼びます。参詣者も参加でき、綱を地面に垂らさないよう指示にあわせて大勢で手伝います。磐座(いわくら)はただ見上げるしかないくらい超然と高く、熊野灘の潮騒がそこに跳ね返ってわんと聞こえ、自然と身が引き締まる日本最古の神空間。そこで太古からつづく神事に加われる幸せ。磐座と御神木にかける綱は参詣者ひとりひとりと花の窟神社がつながる綱でもあるのでしょう、綱に手を添える皆が笑顔です。お綱からは「三流の幡(みながれのはた)」が吊るされ、そこには風に揺れる季節の花々。まるで、神社由来の7つの自然神(風・海・木・草・火・土・水)の祝福を受けているようです。
取材・文:加藤正明
日本書紀にも記されている日本最古の神社「花の窟」。例大祭では日本一長いといわれる約170メートルの大網をご神体の巨岩の頂上まで引き上げ、参詣者がお網を地面に垂らすことがないように境内から国道を越えて、七里御浜へ引き出して境内へ渡す、五穀豊穣を祈願する神事です。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り