日本の祭りレポート
かすがじんじゃ おとうしんじ おとうしんじ
この祭りは食べることの大切さを伝承するもの。祭り人たちは深夜0時半、太鼓を合図に下帯姿で口々に“六根清浄”を唱えつつ南秋川の冷水に身を沈めます。つぎは米をとぎ、火打ち石で採火。御飯が炊ければ当番が2人1組になって“御餇におであいますよー”と叫びつつ氏子地区を疾走。祭りの主役・飯盛役は高取家の世襲と決まっていて、その声が聞こえれば承知したことを示すのに提灯に灯りをいれて振り回し、向かうは春日神社。そして7つの木椀に飯を高盛りして祭壇にお供えし、祭りの準備が完了。午前6時、7椀の飯が神饌として供えられ、五穀豊穣・無病息災・天下泰平を祈って全員が家にその飯を持ち帰るのです。東京都にこういう集落があって、こういう祭りがあるのに驚きます。
【取材・文:苦田秀雄】
東京・檜原村の春日神社で記録上1572年から続くといわれる、3月1日深夜から翌朝にかけて行われる神事。氏子地域の当番数名が4日前から他人が起こした火を一切使わない生活を送り、ふんどし姿で川に入り身を清め、火打石で火を起こし、浄水で米を炊き、ご飯を大高盛りにして神前に献上します。翌朝氏子は共同飲食をし、五穀豊穣・無病息災・天下泰平を願います。