日本の祭りレポート
おとしままつり
日本の地中海・瀬戸が紅に染まるころ、地域を練った神輿、千歳楽(太鼓台)、御船が戸島神社に還御。太鼓が“ドンドコ ドンドコ スットントン”。ひときわ目立つのは金色まばゆい日本三体神輿。続いて奴行列「宿振り」、赤鬼と青鬼の武田流棒術の演舞。さらに獅子舞は五穀豊穣と家内安全を祝う「五段返し」。最後が千歳楽、御船などの「大場もの」の宮入です。宮入は制作年代の古い順で、まず養父支部の御船、千歳楽は中山支部にはじまり最後は畑支部のだんじりまで。それらは左右に蛇行しながらときに差し上げられ、境内は荒海のごとく、千歳楽の刺繍は金色に輝き、伊勢唄(伊勢音頭)が唄われ、これぞチカラ祭り。その美しき統制力、まさに見事、感動の極み。
古来乙島は瀬戸内交通の要衝。各地の文化が混ざりあってこういう祭りができたのです。
「天の原 明けて戸島を見渡せば 渚静かに 波ぞよせくる」。藤原家経の詩(永承元年〈1046〉大嘗会和歌集)です。祭りが終わり、荒波は静かなさざ波に。
取材・文:苦田秀雄
約700年の歴史を持つ戸島神社の秋祭り。日曜の早朝から戸島神社を目指し千歳楽やお船などの大場物が町内に繰り出します。見所は日暮れとともに、全ての大場物が神社の170段の階段を練り登り境内にて奉納する様で、担ぎ手のかけ声と黄金色の刺繍をほどこした大場物の荒々しい動きが壮観な光景を作り出します。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り