日本の祭りレポート
おおつぐないじんじゃれいたいさい
“山の神も夜半(よわ)の神楽にこぞるらし 舞屋の外の闇の怪しさ” 大償神社をまもる別当・佐々木家の床の間には、民俗学・国文学の大家で歌人でもあった故折口信夫直筆の掛け軸が。氏が神楽研究のために来村した際に詠んだとされ、近くには歌碑もあります。大償神楽は、早池峰神社の岳神楽と並んで「早池峰神楽」(ユネスコ無形文化遺産)と総称される神楽座。夏の終わり、地区の古民家「神楽の館」で「鳥舞」「翁舞」「三番叟」「八幡舞」「岩戸本式」「山神舞」「権現米」の奉納を拝見する機会に恵まれました。ときおり涼風が吹き抜ける板の間で入魂の2時間半。太鼓、笛、擦り鉦による7拍子と力強く床を踏むドンという音がしばらく耳に残りました。
取材・文:加藤正明
北上高地の早池峰山の麓にある小さな集落「大償地区」。集落にある大償神社の例大祭ではユネスコ無形文化遺産に登録された「早池峰神楽」の大償神楽が奉納されます。神社の前で「しんがく」を奉納し「神楽の館」では舞が奉納され、集落は山への感謝と祈りに包まれます。(早池峰神楽:国指定 重要無形民俗文化財)
※出典:ダイドーグループ日本の祭り