日本の祭りレポート
きしゅう おにおい
鬼の概念は6世紀頃中国から伝わり、かつてそれは邪悪な存在ではなかったとされます。人間が亡くなることを「鬼籍に入る」というのはそういうことなのです。
午後8時、鬼堂から鬼が飛び出してきました。それは一気に石段を駆け下り、焼酎をあおり、藁で竹をくるんだ「鬼の手」で容赦なく群集を叩きます。群衆は鬼につけられた御幣を取ろうと必死。公民館長のアナウンスと鉦の音も凄まじく、“叩け!でた ○・△!□・/×?○・・叩け 叩かんか!オラァ”、何を言っているのかさっぱり解りません。鬼は3匹で、厄年25歳の青年が扮しています。観客が鬼につけた御幣を取れば厄災から免れるとか。これは文句なく奇習です。
【取材・文:苦田秀雄】
招福除災(しょうふくじょさい)の善鬼とされ、25歳の厄男が鬼となります。無数の御幣(ごへい)を身にまとった鬼と「付け」(付添役)が縦横無尽に駆け巡ります。鬼が暴れれば暴れるほどその年は五穀豊穣、無病息災と言い伝えられています。観衆は鬼の御幣を取って帰ると一年健康でいられるといわれ、鬼との格闘が怖いながらも、面白い伝統行事です。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り