日本の祭りレポート
やまきたのおみねいり
古代、神は山に降臨するとされ、修験者たちは山中で修業することによって霊験を得て呪術を習得しました。この祭りはその修験道の柴燈(さいとう)行事*の芸能がベースです。
大野山の峰を進む「道行き」は独特な雰囲気。視界に現代建造物一切なし。極めて贅沢な光景です。一行は山の中腹にある神明社に到着。ここで「みそぎ」「満月の歌」「棒踊り」「鹿枝(かしえ)踊り」「修行踊り」「歌の山」「四節踊り」「五色踊り」など、個性豊かな踊りが満載。とりわけ「棒踊り」は原初宗教の呪法が芸能化する過程を示すものとしてきわめて貴重。踊りはすべて口伝。かつては家督を継ぐ長男しか踊ることは許されなかったのです。場所が場所だけに観客も観るに苦労。その苦労をあえて体験するのもいいかも。
【取材・文:苦田秀雄】
修験道(しゅげんどう)の柴燈(さいとう)行事が各時代の風俗芸能と融合して今に至ったといわれている祭礼で、5年を目途に開催されます。「鹿枝(かしえ)踊り」「修行(しゅぎょう)踊り」「四節(しせつ)踊り」など口承で継承された11種の歌舞が演じられ、中でも「棒踊り」は原始宗教の呪法が芸能化する過程を示しているともいわれ貴重な資料です。