日本の祭りレポート
おきのしまあらくらじんじゃたいさい
沖の島は高知県の足摺岬の西の太平洋に浮かぶ周囲1キロの小島。そこは中世までは無人でしたが、鎌倉時代に鎌倉幕府執権の北条との戦いに敗れた三浦一族が三浦から逃れてきて住んだのが島の始まりとか。
祭りの日、牛鬼が境内を練り、唄うは舟歌。お旅所への「お下がり」が始まりました。神輿の重量750キロ。担ぎ手10人。ということはひとり当り70キロ以上。これはけっこう大変。彼らは“よーさんや よーさんや”の掛け声で石段を降り、行く先々で御馳走がふるまわれます。高知の風習「おきゃく」です。夕方5時ころ、神輿は“べんざいろくじゃ”の掛け声で神社に還御。島で唄われるのは島めぐりの唄「ねり唄」「あげ唄」「舟歌」。最果ての旅情を感じさせます。
【取材・文:苦田秀雄】
周囲17キロの小さな島「沖の島」。室町時代、この島には高知と愛媛の県境が引かれていました。明治時代には高知県に統合されましたが、伝統あるこの祭りには愛媛県の「牛鬼」も引き継がれています。クライマックスは神輿を標高100メートルの荒倉神社まで担ぎ上げる儀式。祭りの際には過疎の島も大いに賑わいます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り