日本の祭りレポート
おがたさんしゃかわごしまつり
河原の鳥居をくぐり、男衆がかつぐ神輿が初冬の夜の緒方川を渡る様子が、この祭りの見どころです。父・仲哀天皇(一宮八幡社)、母・神功皇后(三宮八幡社)が、子・応神天応(二宮八幡社)の元を訪れ年に一度再会するこの祭り。三宮八幡社だけが緒方川の対岸にあるため神輿は川を渡らなくてはならないのです。その昔、原尻の滝周辺で続いた水害が緒方三郎惟栄の祟りとされたことから、鎮めるために始まったのが祭りの起源といわれています。このあたり一体は水に恵まれた米どころ。神社のある3地区(久土知・原尻・上自在)が力をあわせ、祭りはいま万年豊作と水に感謝して行われます。もうひとつ、川越しまつりで見るべきは緒方神楽でしょう。500年以上の歴史を持つ御岳流の流れをくむ神楽座で、勇壮で重量感にあふれています。
取材・文:加藤正明
源平時代の武将、緒方三郎惟栄にまつわる約800年続く神事です。祭りの呼び物は、松明が明々と燃える中、ふんどし姿の若者たちに担がれた神輿が川に立つ鳥居をくぐって対岸のお宮まで渡る裸神輿。母である「三の宮社」の神功皇后が松明に導かれながら夜の川を渡り、我が子応神天皇が待つ「二の宮社」をめざします。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り