日本の祭りレポート
のうはくさんじんじゃしゅんきたいさい
「御神嚮(ごじんこう)*」で3基の神輿が境内を1周半回ります。かける時間は3時間。よってほとんど静止状態。その行列が一気に走りだすのが「お走り」です。3の神輿の守役に神が憑いたとき全員が猛ダッシュするとか。神が憑きました。走りました。
そして舞楽が始まります。それは大坂の四天王寺舞楽が伝わったもの。まず稚児2人による「振舞(えんぶ)」があり、四天王寺舞楽をよく残す「泰平楽(たいへいらく)」「納曽利(なそり)」などと続きます。最後は「陵王(りょうおう)」の舞。陽は西に傾き、王にそそぐ光は刻々と色を変え、緋色の衣装は落日に燃えます。王は全身に力をみなぎらせ、腰を落として身体をねじり、橋をすり進むのです。感動で胸が押しつぶされます。
*御神嚮:神霊の御幸。御神幸と同義
【取材・文:苦田秀雄】
能生白山神社では、毎年4月24日に春季大祭が行われ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。奉納される舞楽は、室町時代の重立衆が大阪四天王寺より習い伝えたとされ、年月を経て中央とは異なる能生の風土に培われた舞の形になりました。特設された水舞台では、十一の舞が日没まで演じられ、夕日を浴びて舞う「陵王の舞」は圧巻です。