日本の祭りレポート
にしもないぼんおどり
町内の通りに篝火(かがりび)がたかれ、流れるのは秋田音頭ベースのお囃子。その歌詞がエロチックで、ユーモラス。彦三頭巾(ひこさずきん)はあの世の使いか?
小さく開けられた穴から光る目が不気味。端縫(はぬ)いの着物は女の歴史を紡ぐパッチワーク。彦三頭巾は亡者を意味し、善政の城主の死を悼むもの。端縫衣装は嫁いできた代々の花嫁衣装をパッチワークに繕ったものです。そこには歴代家を守ってきた女たちの情念が込められているのです。踊りとお囃子、篝火がふたつの踊り合体の奇跡をみせ、ミスマッチの怪しさをかもします。囃しの甚句(がんけ)はどんどん陽気にテンポをあげます。“お盆恋しや かがり火恋し まして踊り子 なお恋し”
【取材・文:苦田秀雄】