日本の祭りレポート
にいののゆきまつり
これは舞の所作に古(いにしえ)の伝統がよく残されており、文化的な価値が極めて高い舞です。また、舞は奈良の能と伊勢の田楽が合体したもので、それが信州の山奥に伝承されているのもミステリアス。神事は、伊豆神社の伊豆権現に雪を奉納するもので、希少。祭り当日に雪が降れば豊作になるとか。雪を稲穂に見立てているため大雪ほど豊作ということなのです。
伊豆神社で、突然、祭り人たちは“乱声(らんじょう) 乱声”の大声を発し、庁屋を棒で激しく叩きます。それは舞が始まることを伝える掛け声。同時に宝船にみたてた舟形が灯明を載せて綱を登り、大松明に点火され、「庭の儀」に入ります。それは夜を徹しての舞の始まり。舞は14種あり、なかでも病害虫を追い払う「競馬(きょうまん)」が人気の出しもの。“眠い、寒い、煙い”と言われる過酷な奇祭ですが、ここにあるのは日本文化の深淵。
【取材・文:苦田秀雄】
新野の雪祭りは豊作を願う祭りで、伊豆神社境内で「田楽」「舞楽」「神楽」「猿楽」などが徹夜で繰り広げられます。「当日に雪が降ると豊作になる」という五穀豊穣祈願で、使用する19種の仮面=面形(おもてがた)に、作り物の駒(こま)、獅子頭(ししがしら)、馬形、牛形が加わり、仮面をつけることによって神の化身となります。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り