日本の祭りレポート
なんこうさい たたみやぶり
これは戦国武将楠木正成の武勲を称える祭りです。それは後醍醐天皇の倒幕に呼応した楠軍と幕府軍の河内千早城の戦いの再現で、楠軍1000人足らずの軍勢で100万の幕府軍と戦った(太平記記載)史実が元になったもの。この戦を契機に鎌倉幕府は滅亡への道をたどるのです。拝殿で下帯姿の男たちが楠軍となり畳を盾に幕府軍を迎えます。すると遠くに待機していた幕府軍の一団が“わー”の怒号で参道を突進。両軍は拝殿でくんずほぐれつ。畳はバリバリとむしられます。「わめき隊」が竹で作られた「ダイユミ」をしばいてわめきます。そこはもう阿鼻叫喚(あびきょうかん)の世界。最後に畳は藁(わら)くずとなってたき火にくべられて昇天。拝殿では豊穣を占う「的射の神事」が行われ、祭りはあっという間に終了。
【取材・文:苦田秀雄】
上半身裸の男たちが一心不乱に畳を破り、藁で体をこすりあう奇祭。舞台は、鎌倉時代の武将・楠木正成父子を祭神とする「楠公神社」。拝殿の内と外ふた手に分かれ一枚の「畳」を挟んでぶつかり合います。わずか数百人の楠木勢と数万人の幕府軍が対峙した「千早城の戦い」(1333年)を再現したものと伝えられています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り