日本の祭りレポート
なかつぎおん
ここ中津で「祇園車」と呼ばれる重厚華麗な地車。塗りや彫刻が施された精妙なつくりにも関わらず、男達に曳かれて街中を勢いよく疾駆するので、別名「走る文化財」。中津祇園は、上祇園(中津神社)・下祇園(闇無浜神社)の総称で、祇園車はいま合わせて13台。鉦・太鼓のお囃子(ジャンギリ)が聞こえてきただけで中津っ子は血が騒いでしまうのです。謡われる木遣り「松前音頭」は北海道松前から伝わったもの。その最後には「若い衆に頼む ハ、ヨーイトナー」の歌詞が。年長者が次の世代頼むぞと祭りの場で堂々と歌い上げるとはなかなか巧みな作戦です。祭りを繋ぐ心意気にあふれた壮年・若者・子どもがわんさかいるのはこのおかげかと。納得です。
取材・文:加藤正明
城下町中津の疫病退散を祈願する中津祇園は、京都・八坂神社の流れを汲み、590年以上の歴史があります。芸能舞台を有する「祇園車」と呼ばれる曳車は、約340年前から出されるようになりました。舞台付きの曳車をチキチンコンコンの囃子と操船の合図で引き回す形態は、江戸期の大坂三郷のダンジリから伝播したとされています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り