日本の祭りレポート
なふねたいさい
戦国時代、越後から攻めてきた上杉勢に対し、名舟の住民は夜陰に乗じて太鼓を打ち鳴らし、鬼の面をつけ、海藻や藁屑(わらくず)を頭から垂らして篝火(かがりび)を焚き、これを撃退したといいます。
御陣乗太鼓(ごじんじょうたいこ)の発祥伝説です。能登の荒海を前に演じるその姿には文字通り鬼気迫るものがあります。小ばい(地打ち)に合わせ、大ばいが序・破・急の構成をとる打ち方で、徐々にテンポが速くなります。打ち手はそれぞれ夜叉面、爺面、幽霊面、達磨面を着け、乾燥させた海藻を頭から垂らし、ツヅレの着流し姿で太鼓を乱打。能登の夏祭りを彩る5基の担ぎキリコが隅々まで集落を練り、奥能登の小さな漁村は祭りの坩堝(るつぼ)。
【取材・文:苦田秀雄】
名舟の沖合約50km離れた舳倉島(へぐらじま)に鎮座する奥津比咩神社(おきつひめじんじゃ)の御神霊を迎えて行う例祭です。能登の夏祭りを象徴するキリコと神輿や、子ども組、大人組による御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)の奉納打ちが最大のみどころです。門外不出の御陣乗太鼓は、この地に400年以上受け継がれてきています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り