日本の祭りレポート
むつきしんじ
これは800年の伝統をもつ、衣装や所作に中世の様式が残る学術的な価値が極めて高い神事芸能です。一連の舞は稲づくりの様子を演じて五穀豊穣を祈願するもの。
舞は奉仕者がかけ声をかけながら会場を回る「明神参り」から始まり、紙貼りの大玉を棒でたたき割る「油おし」、稚児たちによる神迎えの「祝い中(もどき)」「ささら」「さいやいや」と続きます。そして、「田囃(たばや)し」「蚕囃(かいこばや)し」があり「扇本(おおのもと)」と奉納舞は進みます。その所作、衣装、囃しなどは観るものを中世の世界に誘いこむ不思議なチカラ。舞の練習は必ず神前で行わねばならないきまり。練習自体が神事です。それは祭りの日だけではなく、いつの日も神に見ていただいている意味。地域の人はいつもそういう気持ちで暮らしているといいます。
【取材・文:苦田秀雄】
大森町の賀茂神社に伝わる800年の伝統をもつ神事芸能。天下泰平・五穀豊穣などを願い4年ごとに奉納されます。稲作・養蚕の農作業の様を、田楽風の舞・語り・囃子を織り交ぜ、手拍子・大太鼓・横笛で盛り上げ、幼児から少年・青壮年らが様々に演じ豊作を祈願します。中世芸能の様子がよく残っているといわれ、特に華麗な装束の子役の舞は古式豊かです。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り