日本の祭りレポート
むろねじんじゃとくべつたいさい
この祭りの実行は「神役(じんやく)」と呼ばれる氏子たちがそれぞれの役を分担。
その全体像は宮司すら知らないとか。祭りの古さを示す証拠です。午前4時、注連縄が切り落とされるのを合図に、神輿は室根山中腹の室根神社を出発して山を下ります。一行は折壁の「マツリバ」を目指して一直線に進み、道中「田植壇」で農耕に関する行事を行い、本宮・新宮2基の神輿が御仮宮への先着を争うのです。2基は先陣を争って御仮宮に登ろうとします。本宮の神輿が先に安置されようとすると新宮の神輿はご機嫌をそこねて引き返し、本宮がそれを追っかけて慰めます。その攻防は実にユニーク。最後に両神輿は仲良く仮宮に納まります。1300年の歴史にして実にレアな祭りです。
【取材・文:苦田秀雄】
1292年の歴史をもつ室根神社で、閏年の翌年に行われる室根神社特別大祭。祭り3日目の本宮と新宮の両神輿による「御神輿お下り」と呼ばれる先陣争いが圧巻です。農作物の豊穣を祈る荒祭りとして知られ、室根を中心に隣接する地域から氏子約千人が参加します。国の重要無形民俗文化財に指定されています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り