日本の祭りレポート
みさとちょうのおんださい
「御田祭」は日陰山の中腹に本社をもつ田代神社が彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)の霊をお迎えして行う農耕神事です。催馬楽(さいばら)の演奏に続いて牛馬が宮田に入り、大暴れ。若者たちが泥だらけになって手綱を操ります。結婚近い若者が花嫁を牛に乗せて宮田を回り、地域に披露。「ミヨド」が白衣に襷(たすき)をかけて頭に赤飯を入れた米櫃(こめびつ)をのせ、参詣者に配ります。「ウナリ」や「ノボリモチ」たちが忙しく動き回ります。これらはそれぞれが世襲制の祭りの世話役なのです。神楽が終われば最後は早乙女およそ100名による田植。編み笠に絣の着物、赤い襷に赤の襦袢(じゅばん)姿が可愛い。それは静かな山里に沸き起こった一瞬の夢絵巻。
【取材・文:苦田秀雄】