日本の祭りレポート
みあれさい
波高い玄界灘です。「ここは神話の世界?」「これは幻覚?」。御座舟(ござぶね)を数100隻の漁船が取り囲み、白波をたててグルグル回っているのです。船がゴンゴンぶつかりあっています。これがあの宗像大社の「御阿礼(みあれ)神事」。「みあれ祭」の「阿礼(あれ)」とは神霊が生まれること。古事記によれば宗像3女神とは、天照大神が素戔嗚(すさのお)の剣を噛み砕いて吹き出した霧の中から生まれた3柱の姫神とされています。この祭りは女神たちの年にいちどの逢瀬(おうせ)です。それが沖ノ島の沖津宮(おきつのみや)の多紀理姫命(たぎりひめのみこと)、大島の中津宮(なかつのみや)の田心姫命(たごころひめのみこと)、陸の辺津宮(へつのみや)の市杵島姫命(いしきしまひめのみこと)。その御霊を載せた御座船が玄界灘を漁船団に護られて航行。その距離60キロ。祭祀の内容については一切他言無用!
【取材・文:苦田秀雄】