日本の祭りレポート
まつえさいどうぎょうれつ
鼓に冬と書いて、鼕(とう)。本来、太鼓を打つ音をいい、古い書物などでは何かを打ち鳴らす音や、水が波や滝となって勢いよく音を立てる様を鼕鼕(とうとう)と表現しているようです。出雲地方では太鼓それ自体を鼕(どう)と呼び、ここ松江では鼕を屋根付きの屋台に据え、笛、チャンガラ(和楽器の一種、拍子)とともに打ち鳴らし練り歩きます。女性陣による華やかな屋台もあれば、宵宮では観光客の体験参加もありと、とにかく鼕を囲むうきうきとした空気、楽しくて仕方がないという気持ちはそばにいる者にもびんびん伝わってきます。太鼓の皮が大きい(直径1.2~1.8メートル)ので、打つ音はドンではなくダンと聞こえ、笛やチャンガラも加わると、囃子はどことなく青森ねぶたのようでもあります。松江城前での出陣式では屋台ごとに口上と口上返しがあり、厳粛です。さすが出雲島根・松江の祭りならでは。
取材・文:加藤正明
出雲地方で「鼕(どう)」と呼ぶ大きな太鼓を上向きに据えた山車を、多数の老若男女が、笛、チャンガラなどを打ち鳴らしながら引き廻す祭りです。起源は古来の正月行事 「左義長」まで遡り、出雲地方では「とんど」行事として歳徳神を祀り、鼕を叩いて生かされていることに感謝し、新年の五穀豊穣や平安を祈願していました。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り