日本の祭りレポート
くわないしどりまつり
これは桑名市内を流れる町屋川の石を集めて春日神社に奉納するという珍しい祭りです。祭り本楽(ほんがく)の日、桑名全域に鉦と太鼓の石取囃子の轟音が響きわたります。それは各町内の想いと誇りを背負った38台の祭車(さいしゃ)の春日神社への渡祭(とさい)。それぞれが、それぞれの想いを胸に“こらさー”ゴン チキチン。それは桑名の子守唄。そして夜10時、春日神社近くの田町交差点で4台の祭車による「曳き別れ」が行われます。そこに漂うのは祭りのフィナーレを惜しむ哀愁。この祭りは単にうるさいだけではありません。囃子にも、所作にも小粋なテンポと間(ま)が一定のリズムをつくっているのです。それはえも言われぬ桑名人の心の粋。
【取材・文:苦田秀雄】
町屋川の清らかな石を採って春日神社に奉納する祭りで、江戸時代初期に始まったといわれています。本楽日の午後には各町の祭車が渡祭(とさい)順に曳き揃えを行い、浴衣に羽織の正装で行き交う姿は豪華絢爛な祭り絵巻を醸し出します。夕方からは祭車に灯が灯り、春日神社前で「日本一やかましいまつり」の渡祭が順次行われます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り