日本の祭りレポート
くせまつり
だんじりの上には社(やしろ)が組まれ、四方に笹を立て、その中で子供たちが鐘と太鼓を乱打。先端は鋼鉄で武装。町の中心部で地区9台のだんじりを順次ぶつけあう「だんじり喧嘩」が行われます。鋼鉄が火花を散らします。勝敗は決めません。それは双方心の中にあるのみ。“ぶちめーじゃる!”(ぶち壊してやる)という意気込みが久世っ子の心意気。「だんじり喧嘩」の際、喧嘩場に神輿がやってくると戦いは中断され、囃子は鳴りやみます。これが他所(よそ)の祭りとはま逆。また、各家には「俄留(にわかどめ)」の札が数多く貼られます。それは祭りに寄付した証しであり、その枚数が多くても威張らない、少なくても卑下しないのが昔からの伝統。
【取材・文:苦田秀雄】