日本の祭りレポート
くぐしべんてんさい
「久々子弁天祭」の由来は、かつて久々子海岸の西の岬に雌の大蛇、東の岬に雄の大蛇が棲み、それが互いに湾を行き来するときに海が荒れ、人々はたいそう困っていたとか。そこに通りかかったのがあの弘法大師空海。大師は雌の大蛇に仏戒*をかけます。すると大蛇はたちまち昇天。人々は大蛇を海の安泰と庶民福寿を守護する弁財天としてお祀りしました。それが岬の先端にある宗像神社で、地元の人々はこれを弁天さんと呼びます。この祭りはその弁天さんへの感謝です。若者らは弁天さんに喜んでいただこうと御座舟から海へザブン、ザブン。大蛇伝説は出雲神話の八岐大蛇伝説が伝わったのか、新潟から秋田に至るまで日本海沿岸に多くみられます。
*仏戒:仏が定めた戒
【取材・文:苦田秀雄】
地区の守護として弁財天が祀られており、「弁天さん」と親しまれています。岬に立つ宗像神社からご神体を神輿にのせ、船で海を渡ります。村中のお仮屋に安置され、一晩お祀りした翌日、再び船で神社へ戻されます。弁財天を喜ばせるために、鮮やかなのぼりを立てた船の上で若い衆が相撲を取り、荒っぽく海へ落としあいをします。