日本の祭りレポート
こなきずもう
“さあ さあ さあ 泣いたら勝ちよ はっけよい のこった”。行事の差配で母親の膝に抱かれた赤ん坊が鉢巻を巻いて、化粧回しをつけて向きあいます。初めから大泣きしている子もあれば、泣かない子や眠ってしまっている子も。行司の差配もなかなか難しい。やぐらの脇には赤ん坊の先輩になる小学生たちがびっしり並んで盛大な声援。皆「子泣き相撲」の経験者です。北海道から、東京から、大阪から里帰りしている親子もいます。おじいちゃん、おばあちゃんもとっても嬉しそう。「子泣き相撲」は延々続き、140組、280人の赤ん坊の出番が終わりました。最後に護摩供養と餅まきで祭りは閉幕。これは赤ちゃんの泣き声が悪霊を退散させるという故事に倣(なら)ったものです。
【取材・文:苦田秀雄】
毎年(節分の日)1歳前後の赤ちゃんが約300人ほど集まって行われる子泣き相撲。赤ちゃんの健やかな成長を願う祭りで、勝負は早く泣いた方が勝ちです。約400年前の最教寺で、赤ちゃんの泣き声が亡霊を追い払ったという故事にちなんだ祭りです。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り