日本の祭りレポート
こくせきじそみんさい
2月深夜、ここは雪が横になぐりつける岩手の山の中。褌(ふんどし)一枚の男たちが手に手に行燈を掲げ、雪の中を行進。彼らは氷点下の瑠璃壷川(るりつぼがわ)で禊をし、薬師堂で参詣して妙見堂に登ります。午前零時、井桁に積み上げられた柴燈木(ひたき)が燃やされ、若者らはその上で山内節を唄いながら浄火を浴びます。午前4時半を過ぎた頃、蘇民袋が出され、麻袋を切り裂けばその中から小間木が。彼らはそれを奪おうと堂内でくんずほぐれつの争奪戦。最後は雪の田圃の中でまた争奪戦。この争奪戦で最後まで蘇民袋を離さなかった者が取主となります。袋の中の小間木には「蘇民将来子孫門戸」と記され、それは厄除けの護符。想像を絶する世界です。
【取材・文:苦田秀雄】