日本の祭りレポート
きしわだだんじりまつり
岸和田といえばだんじりです。祭り人は、幼年、青年、壮年、老年の階層に分けられ、役割がはっきり決められ、厳格な統制のもとに躾けられてきました。ここはだんじりが人を結びつけてきたところ。鳴りものと“そーりゃ そーりゃ”の掛け声でだんじりは生命を得て走りだし、道路の角で一気に疾走。これを「遣(や)り回し」といい、屋根の上の大工方は団扇を両手にひらり、ひらり。その姿はあまりにもかっこいい。彼らは2日間で100回も「遣り回し」をし、通算65キロもの距離を走るとか。岸和田人は言います。“だんじりにええかっこさせたいんや”と。自分ではなく、ここの主役はあくまでもだんじりなのです。
【取材・文:苦田秀雄】
戦国絵巻など精緻(せいち)な彫刻で被われた欅(けやき)のだんじりの重量は約4t、各町そろいの法被姿の町衆に曳かれて34台が城下町をかけまわります。特に辻々を勢いよく直角に方向転換する「やりまわし」の迫力はみどころです。やがて日が暮れるとだんじりには200余りの提灯が飾り付けられ、昼間とはおもむきを異にし、ゆっくりと町をねり歩きます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り