日本の祭りレポート
かわぐちのちごまい
祭りの舞子の稚児(おちいさん)は小学校2年生から6年生までの女児7人。杉の巨木群に囲まれた境内に吹き渡るのは真夏の涼風。拝殿で「おちいさん」が鈴や扇などを手に舞います。舞いは「御幣の舞」「扇の舞」「剣の舞」「八方の舞」「宮めぐりの舞」となめらかに進み、静かな境内には“しゃん しゃん”の鈴の音。舞の所作には天鈿女命が天岩戸の前で踊ったとされる巫女舞の所作がみられます。それは舞子が神憑り状態になり、神のご託宣を伝える神遊(神楽)の原点ともいえるもの。「おちいさん」は稚児舞の先生から所作だけではなく、礼儀作法に至るまでを教えられます。ここは聖なる空間に神を感じる河口湖の上質な夏。
【取材・文:苦田秀雄】
富士山の祭神、木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)を祀る、河口浅間神社の例大祭(4月25日の孫見祭)と7月28日の太々御神楽祭の2つの祭礼で、選ばれた少女たちが鮮やかな装束で身を整え、幻想的な舞を奉納します。稚児舞の奉納は富士の噴火を鎮められた祭神の霊をお慰めする舞で、富士登山の安全を祈る神事として受け継がれてきました。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り