日本の祭りレポート
かねざわはやまごもり
地区の名称「金沢(かねざわ)」は「蟹のいる沢=蟹沢」に由来します。大きな蟹や蛇が農作物を荒し家畜や人々に危害を与えるため、神社に籠り、神の託宣を得てようやく退治できた、という伝説に基づくのこの神事。臨む人々の信仰は厚く、厳しく潔斎した上でないと結界に入ることは許されません。厳格な決まりにそって全てが進みます。神がかりとなって羽山の大神の託宣を告げるノリワラを数十年も務めてきたご老人をこもり屋(行事が執り行われる家屋)でお見掛けしました。普通の方のように見えて普通ではない、何かがある気配。自然と身がすくみます。古の農耕祭儀をいまに伝える森厳な行事です。
取材・文:加藤正明
農民が神の託宣により、五穀の吉凶や1年間の気象・災難を占う神事で、千数百年の歴史があるといわれています。水垢離をとった男性たちが籠り屋に3日間籠り、1日目夜に田遊びの儀式「ヨイサー」を行い、2日目は餅つき、3日目には信仰の山「羽山」に登ってかがり火の明かりのもとで神の託宣をいただく神秘的な祭りです。(国指定 重要無形民俗文化財)
※出典:ダイドーグループ日本の祭り