日本の祭りレポート
かみひのきないのふうせんあげ
これは江戸時代の科学者平賀源内が銅山採掘の技術指導のために桧木内を訪れた際、遊びとして伝えたものとされます。2月の秋田、雪の大地から漆黒の空へ12メートルにも及ぶ紙風船が次々と上がってゆきます。風船にはあでやかな美人画や勇壮な武者絵が描かれ、「五穀豊穣」「家内安全」「合格祈願」などの願いが大書され、その願い天までとどけ、とゆっくりゆらゆら上がってゆく様は幻想的のひとこと。じっと見上げていれば想いが天に届くのを感じます。こういった熱紙風船は台湾やタイにもあり、台湾では「天灯」、タイでは「コムローイ」といい、東南アジア各地の祝祭行事に分布するもの。
ときおり秋田内陸線の電車が通ります。乗客が驚きと感動の表情で見あげます。みんなの想いはひとつ。それは平和。
【取材・文:苦田秀雄】
100年以上の歴史をもつ小正月行事。銅山開発の技術指導のためこの地を訪れた平賀源内が熱気球の原理を応用した遊びを教えたことが発祥と伝えられています。製作には幅広い年代の住民が集まり、和紙を貼り合わせた長さ3~12メートルの紙風船を作ります。祭りでは約100個の紙風船が夜空に舞い上がる幻想的な光景が見られます。